イロハニトイロ

vol.49-⑭ 支援者が障害を作っている!?

問題を解決したい支援者

私たち支援者は、その人(患者さん)の問題を見つけ出し解決したくなるものです。

学校(支援を学ぶ大学や専門学校)でもそのように習ってきた記憶があります。

「問題点の抽出」なんて言って、

その人(患者さん)の問題を支援者が専門的な視点から明確にして、

その問題解決のための計画を立てていきます。

その方の現在のつまづき(生きづらさ)は何だろう?

その原因は何なんだろう?

その方のどんな問題が解決すれば生きやすくなるんだろう?

そんなことを考えながら支援している方は多いのではないでしょうか?

親も同じですね。

ついつい子どもの問題点ばっかりが目についてしまいます。
(片付けられない、宿題しない、ゲームし過ぎ、スマホ見過ぎ、朝起きられない、字が雑、食べ残す、言葉遣いが悪い、挙げだしたらキリがない。)

支援でも子育てでもやっていることは結局同じです。

皆さんはこのような経験をしたことがないでしょうか?

問題は明確になっていて、後はその解決のために行動するだけなのに行動しようとしない患者さん(子ども)。

どう解決すればいいか、方法だって分かっているんですよ。

あとはやるだけなんです。

でも、実際は、

「できない言い訳」をたくさん集めてくる。

その言い訳の内容も

「それなら仕方ないよね」と聞いた人が納得するような言い訳です。

(怪我している、病気になった、他にしなければいけないことがある、○○に怒られる、嫌われる、などなど)

そして「問題だらけで苦しい苦しい」と言っています。

あるいは、こんなこともあるかもしれません。

ちゃんと問題が解決されたにもかかわらず、すぐに新しい問題が生まれてまた困っている、苦しんでいる

きっと「わかる、わかる」と納得してくださる方が多いのではないでしょうか。

不思議ですよね。

僕もこのことが本当に不思議でたまらなかったんです。

だってみんな「良くなりたい」「変わりたい」「問題を解決したい」と望んでいると思っていたから。

実際本人の口からもそのような言葉が出てきていたし。

こんな経験(問題を解決しようとしない)を繰り返すから、支援者は目の前の人に

「やっぱりこの人は障害者だ」という思いを強めていってしまいます。

このこと(そのように見ていること)が、もしかすると障害を作っているのかもしれません。

「問題を解決したい」と思う支援者と

実は「問題を必要としている」相手(患者さん)との間に大きなズレがあるのかもしれません。

そんなお話をさせていただければと思います。

実はその人は問題があることで助かっている

問題や病気がその人を守っている

もしそうだとしたら?

私たちが問題を解決しようとすればするほど、

実は問題は強固になっていく、

増えていく。

次回、その辺りの事を深くお話させていただければと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

       イロハニトイロ所長

            金村栄治